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なるほど!EMC試験

EMC試験とは

「電気・電子製品の電磁波(ノイズ)に関する試験」のことです。さらに、以下2つの試験で構成されています。

  • エミッション(EMI)試験

    出ている電磁波が規格で決められた範囲内に収まっているかを評価する。

  • イミュニティ(EMS)試験

    電磁波による誤動作の起こりやすさを評価する。

エミッション(EMI)試験とイミュニティ(EMS)試験

エミッション(EMI)とイミュニティ(EMS)を併せて、EMC(電磁両立性)といいます。

なぜEMC試験が必要なのか

電気・電子製品は、動作した際に何らかの電磁波が発生します。
この電磁波の干渉により、他の電子機器の誤作動を引き起こしたり、逆に他の機器から発生する電磁波を受けて機能障害又は破壊などを起こすことがあります。
電気・電子製品を製品化する際には、電磁波の発生による悪影響を与えないことを確認し、電磁波による影響を受けない耐性をもっている事を確認するEMC試験をする必要があるのです。

電磁波による影響テストのイメージ図

EMC試験の流れ

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    測定

車載機器のEMC試験

昨今の自動車は電装部品の塊と言っても過言ではありません。

また、それらの電装部品は単に各機能を制御して自動車を走行させるにとどまらず、ドライバーの運転に対する補助や走行中の安全性の向上を行うもの、またはドライバーに対する情報のインプットなど様々です。
これらは無線通信、センサー検知、画像認識、車内ネットワーク制御等様々な技術が使われています。地球上で誤作動なく機能するには、様々な環境に耐えることを実証しておく必要があります。

その一つが“電磁耐性能力”です。“電磁耐性能力”と言っても、地球上には様々な電磁波が存在します。
これらの環境を模擬した試験を一通りクリアすることにより、自動車はより安全に走行できる能力を証明することになります。

この電磁耐性能力を確認する試験がEMC試験です。EMCの試験は大きく2つに分けられます。
「エミッション試験(EMI)」と「イミュニティ試験(EMS)」です。

エミッションは対象となる製品が、外に対して発生するノイズの大きさを試験します。
イミュニティは対象となる製品が、外からのノイズに対する耐性を試験します。

EMC試験規格一覧

  • 車載機器

    試験名 対応規格
    エミッション試験 放射エミッション CISPR25/
    車両メーカー規格
    伝導エミッション(電流)
    伝導エミッション(電圧)
    磁界エミッション MIL STD461 RE101/
    車両メーカー規格
    過渡エミッション ISO7637-2/
    車両メーカー規格
    イミュニティ試験 ALSE ISO11452-2/
    車両メーカー規格
    TEM セル ISO11452-3/
    車両メーカー規格
    BCI ISO11452-4/
    車両メーカー規格
    ストリップライン ISO11452-5/
    車両メーカー規格
    磁界イミュニティ ISO11452-8/
    車両メーカー規格
    アンテナ近接 ISO11452-9/
    車両メーカー規格
    ESD ISO10605/
    車両メーカー規格
    方形波ノイズ試験 車両メーカー規格
    過渡イミュニティ試験 ISO7637/
    車両メーカー規格
    電圧変動試験 ISO16750/
    車両メーカー規格
  • 一般EMC

    試験名 対応規格
    エミッション試験 放射エミッション CISPR11, CISPR32, FCC Part15B, IEC/EN61000-6-1, 3 ETSI EN 301 489-1, etc
    伝導エミッション(電源)
    伝導エミッション(信号)
    高調波 IEC/EN61000-3-2※準備中
    フリッカー IEC/EN61000-3-3※準備中
    イミュニティ試験 ESD IEC/EN61000-4-2
    放射イミュニティ IEC/EN61000-4-3
    ファストトランジェントバースト IEC/EN61000-4-4
    サージ IEC/EN61000-4-5
    電源周波数磁界 IEC/EN61000-4-8
    電源瞬断/ディップ IEC/EN61000-4-11

    製品規格として、EN50121-3-2(鉄道機器)やIEC/EN60945(船舶機器)の規格にも対応しております。

電子機器における海外の法規制

日本から海外に電子機器や無線機器などを輸出する場合、輸出先の国の法規制によってEMC試験、無線試験および安全試験の要求事項が法規制化されており、対象国の規格・規制への適合が必須となっています。
輸出先によっては、EMC・安全・無線認証が必要であったり、安全認証のみであったり、その対応は国や地域によりさまざまです。

IMVのEMC試験施設「e-TCJ」は、これらの認証・取得を強力にサポートします。各国機関とのやりとりに関わる企業ご担当者の負担を軽減します。

国別の電子機器規制

e-TCJでは全ての規制の認証・取得が可能です。

  • 日本 電気用品安全法、電波法、電気通信事業法、薬事法、VCCI ※自主規制
    アメリカ FCC、NRTL
    カナダ ISED
    EU CEマーク
  • 中國 CCC、SRRC、NAL
    台湾 BSMI、NCC
    韓国 KC/KCs

e-TCJの高品質なEMC試験

EMC試験は電磁波という目に見えないものを測定するため、高い技術力が必要となります。

e-TCJでは、e-mobility の世界で必須のEMC試験を、キャリア20年以上のスタッフが管理・試験いたします。
さらに マツダ株式会社様より「MES67602Dの認定試験所」として正式に承認頂いております。

独自ネットワークにより車載機器以外の試験も可能ですので、EMC 試験や認証、認定にかかることはお気軽にお問い合わせください。

EMC試験の用語説明

放射エミッション 外部へ放射される電磁界が規格限度値を超えていないか評価
伝導エミッション 試験品の電源ハーネスに重なる伝導ノイズが、規格限度値を超えていないか評価
ALSE (アンテナ照射法) 電界結合による照射試験を行い、誤動作や耐性を評価
TEMセル 電界結合の影響を最小限にした照射試験を行い、誤動作レベル・妨害排除能力を評価
ストリップライン 線状の導体箔を形成した構造を持つ電磁波を伝達する伝送路
アンテナ近接 車内で使用することが想定される無線機器のアンテナから発生される電波を近接で照射
BCI (束線電流注入) 試験品に接続されたハーネスに強い電磁界ノイズが誘起した際の耐性を評価
磁界イミュニティ 試験品が強い磁界にさらされた際の耐性を評価
ESD (静電破壊試験) 半導体や電子部品が静電気による電気ストレスを受けた場合の破壊耐量を評価