2025年大阪・関西万博への地震計導入
2025年大阪・関西万博の会場であった「夢洲(ゆめしま)」は埋立地であり、軟弱地盤特有の揺れや、長周期地震動の影響を受けやすい特性がありました。
その為「緊急地震速報」により発表される震度と、実際に夢洲で発生する揺れには乖離が生じる可能性があり、万が一の際に適切な初動判断を行うためには、『会場そのものが、今どれくらい揺れているか』をピンポイントで計測することが課題でした。
弊社は、運営参加(協賛)企業としてアイコム株式会社様(衛星通信)と連携し、会場内の重要拠点に新型地震計「S-QUBE」を用いた地震監視システムを構築し、導入いただきました。
導入における課題
① 「埋立地」特有の揺れへの対策が必須
地盤条件が一定ではない夢洲において、液状化や長周期地震動のリスクを正確に捉えるためには、従来の一般的な地震計ではなく、超低周波振動までカバーできる仕様のセンサが必要でした。
② 猛暑での「完全屋外」設置
設置場所は、アンプ盤の基礎や植栽の中など、屋根のない完全な屋外。日本の高温多湿な夏(猛暑・梅雨)や台風に晒され続ける環境下で、長期間安定して稼働する高い耐久性が求められました。

③ 緊急時の通信インフラ確保
大地震発生時には地上の携帯電話網やインターネット回線が寸断されるリスクがあります。孤立しやすい人工島であるからこそ、地上のインフラに依存しない確実なデータ伝送手段が不可欠でした。
導入の決め手
①長周期地震動対応というコンセプト
S-QUBEは、開発段階から長周期地震動への対応をコンセプトに設計されています。これにより、夢洲のような特殊な地盤環境においても、実際の揺れを正確に捉える有効な手段と捉えられるたこと
※本製品のセンサ性能は、後に産業技術総合研究所の試験において、ISO規格推奨値を上回る0.02Hzまでの低周波振動特性が実証されています。
②50年の知見が生んだ「熱・水」対策
本体がIP67(防水防塵)性能を有していることに加えて、専用ケースをより通気性や放熱性の高い形状で設計する事で、猛暑や豪雨への防護策を実現していたこと
③衛星通信によるBCP強化
イリジウム衛星ネットワークを使用することで、地上の災害状況に影響されない強靭な通信ルートを確保できたこと

導入後の成果
危機管理部による一元監視
設置された3拠点(西工区・GW工区・南東工区)の地震データは、衛星回線を通じてクラウドシステム「GalnetCloud」へ集約されました。 これらは『2025年日本博覧会協会 運営管理局 危機管理部』にて常時モニターされ、緊急地震速報などの広域情報と、S-QUBEによる「足元の実測値」を照らし合わせることで、的確な初動判断を行う判断材料として使われていました。
フィールドテストとしての実証
会期中に大きな地震は観測されませんでしたが、夏の猛暑や激しい降雨の中でもシステムは一度も停止することなく稼働し続けました。これにより、S-QUBEの堅牢性と防水性が、理論値だけでなく実際の過酷なフィールドにおいても証明されました。
この事例の製品
S-QUBE(SW-9033)
・導入場所の例
生産工場、ガスタンク、発電所、配水池、水門、
空港、橋梁、病院、学校、市役所、石油タンク、高層ビル、高層マンション