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建物診断・劣化診断の基本と必要性|構造ヘルスモニタリングで実現する、一歩進んだビルの防災・BCP対策

2026.07.08 2026.07.08
構造ヘルスモニタリング、建物診断とBCP対策

ビルやマンションを長期維持するうえで「建物診断(劣化診断)」は不可欠です。地震大国の日本においては、経年劣化への対策だけでなく、「地震直後の安全性をどう即座に判定するか(BCP対策)」も同時に求められます。

本記事では、建物診断の基本と、従来の目視調査だけでは防げないリスク、そして最新の「構造ヘルスモニタリング」について解説します。

建物診断(劣化診断)とは?怠るリスクについて

建物診断とは、建築物の経年劣化や損傷度を調べる「建物の定期健診」を指します。

診断の目的

劣化の早期発見
初期段階で補修し、将来の修繕コストを大幅に削減。

長寿命化
適切なメンテナンスにより、建物の資産価値を長期維持。

怠るリスク

建物診断は主に以下のリスクを回避するために用いられます。

修繕費の肥大化
内部の鉄筋までサビが回るなど修繕が遅れることにより、工事費用が跳ね上がるリスク。

第三者被害(工作物責任)
外壁タイルが剥離・落下し、通行人に怪我をさせるなどの法的リスク。

震災時の倒壊
経年劣化により本来の耐震性能を発揮できず、震災時の倒壊リスクの上昇。

    建物診断の種類と「目視調査」の限界

    一般的な建物診断は、主に建物の「外観」と「コンクリートの質」を評価します。

    主な調査内容

    目視・打診調査
    クラック(ひび割れ)の確認や、テストハンマーによるタイルの浮きチェック。

    コンクリート構造診断
    内部のサビ進行度を測る「中性化試験」や、傷をつけずに内部を調べる「非破壊検査」。

    従来の調査だけでは見抜けない盲点

    これらの調査は過去の経年劣化を測るには有効ですが、「地震によって構造体の内部(見えない柱や梁の接合部)に生じたリアルタイムのダメージ」は判別できません。

    外観が綺麗でも、内部が致命的な損傷を受けるリスクは排除できないのが現状です。

    マンションやオフィスビルに求められる維持管理

    ・マンション
    12年〜15年前後の「大規模修繕工事」に合わせて診断するのが一般的。
    0.3mm以上のひび割れ、壁に触ると白い粉がつく(チョーキング)、雨漏りを発見したら即診断が必要です。

    ・オフィスビル・商業施設
    オフィスビルの場合は 建築基準法第12条に基づき、定期的な状況報告が必須になります(定期報告制度)。

    BCPの観点では、地震後に「テナントや従業員の命を守り、事業を継続できるビルか」が重要視されます。

    BCP対策|「被災度区分判定」と「構造ヘルスモニタリング」

    地震大国日本において、定期診断と同じくらい重要なのが「地震直後の迅速な安全確認」です。

    従来の「目視による被災度判定」の課題

    大地震のあと、行政や建築の専門家が目視で安全性を判定するまでには、数日から数週間のタイムラグが発生します。その間、「建物に入っていいのか」がわからず、事業が完全にストップします。

    センサーによる「被災度判定システム」の構築で、早急な事業再開

    建物に振動センサーを常設し、地震の揺れをダイレクトに計測する仕組みです。

    地震発生直後、各階の「揺れの激しさ(加速度)」や「傾き(変形角)」を計測し、目視ではわからない構造体のダメージをわずか数分で屋外から自動で判定します。

    導入するメリット

    初動の圧倒的なスピードアップ
    専門家の到着を待たず、数分でビル継続利用の可否をデータに基づき判断。

    地震被災時の安全確保
    建物の「安全」「危険」を即座にアナウンスでき、該当の建物を使用して良いかの判断が数値によって明確にできるため、危険な建物の余震による人的被害を防止できます。

    遠隔での一元管理
    本社にいながら、全国の支店や管理マンションの被災状況をマップ上で同時に把握。

    設置イメージ

    関連コラム:層間変形角とは?計算方法と建築基準法のしきい値を紹介。被災度判定・部品評価の方法についても解説

    まとめ

    これからのビル・マンション経営や企業のBCP対策には、以下2つのアプローチが不可欠です。

    予防保全 定期的な劣化診断で、建物の寿命を延ばす。
    震後判定 構造ヘルスモニタリングで、災害時の事業停止リスクと人的被害を最小化する。

      利用者の命を守り、災害時にも揺るがない事業継続体制を築くために、センサー技術を活用した一歩進んだ建物の安全管理をご検討ください。

      IMVの構造ヘルスモニタリングシステム

      IMVのワイヤレス構造ヘルスモニタリングシステム(HM-5013)

      大規模地震の発生直後、建物の「地震速報」と「被災度判定」をメールで自動通知。管理者の迅速な初動対応とBCP対策を強力にサポートします。

      被災度判定指標を自動出力
      微動から強震まで広い測定レベル範囲
      切れにくい無線の採用
      電源ケーブル以外の敷設工事が不要
      サーバー管理者いらずのクラウドベースのシステム

      企業防災・BCP対策ソリューション

      IMV株式会社は、地震計を中心とした防災ネットワークを構築し、災害による被害を最小限に。
      そんな社会を目指して、世界で当社の地震計による防災ネットワークを広げています。
      ここ数年で活発になっている発展途上国での防災対策の分野においても、JICAのSDGsビジネス支援事業などを通じて当社の地震計を軸とした防災システムの導入を進めています。

      長周期の振動を正確に測れることから、高層ビルや水門、橋梁といった大型建造物のヘルスモニタリングにも採用されています。

      この記事の監修者

      川平 孝雄

      IMV株式会社 MES事業本部 計測事業部 開発戦略課 課長兼上席研究員・防災士
      振動計測機器・センサ・地震計に関する開発、大学及び研究機関との共同研究に従事する。地震計規格の標準化として「ISO/TC 268/SC 1 /WG6(防災) 国際エキスパート」を勤め、各種地震や振動に関する研究会にも参画。講演や書籍・雑誌などの記事執筆も行う。