地震計の設置場所はどう選ぶ?屋内外での設置のポイントを解説
建築物の構造設計や、外壁材・サッシなどの建材開発において極めて重要な指標となるのが「層間変形角(そうかんへんけいかく)」です。
本記事では、層間変形角の基礎知識や計算公式、建築基準法が定めるしきい値(1/200、1/120の緩和条件など)について分かりやすく解説します。さらに、高層ビル等のBCP対策に不可欠な「リアルタイム被災度判定」や、建材の安全性を証明するための「耐震試験(部品評価)」の具体的なアプローチについてもご紹介します。
目次
層間変形角とは、地震や強風などの水平力(横揺れ)によって建物が変形した際、「ある階の床と天井(または上下の階の床同士)が、水平方向にどれだけズレたか」を角度で表したものです。

よく混同される言葉に「層間変位(そうかんへんい)」がありますが、意味合いは明確に異なります。
層間変形角は、以下の計算式によって算出されます。
θ = δ/h
【例】
階高(h)が 3,000mm(3m)のオフィスビルで、地震時の層間変位(δ)が 15mm と計算された場合、層間変形角(θ)は、
θ = 15/3,000 =1/200
となり、層間変形角は「1/200」と表現されます。
層間変形角を制限する最大の目的は、「建物自体の倒壊を防ぐこと」に加え、「外壁材や窓ガラス、内装材、設備機器の脱落・損傷による二次被害を防ぐこと」にあります。
建物が倒壊しなくても、地震の揺れによって外壁のタイルやカーテンウォールが剥がれ落ちて地上に落下すれば、歩行者に甚大な被害を及ぼします。
また、建物内部の配管や重要設備が破損すれば、地震後に建物を使用できなくなるため、
BCP(事業継続計画)の観点からも、層間変形角の制御とそれに伴う部材の安全性確保は極めて重要視されています。
建築基準法施工例の82条の2では、以下のようにしきい値が定められています。
建築物の地上部分については、第88条第1項に規定する地震力(以下この款において「地震力」という。)によつて各階に生ずる水平方向の層間変位を国土交通大臣が定める方法により計算し、当該層間変位の当該各階の高さに対する割合(第82条の6第2号イ及び第109条の2の2第1項において「層間変形角」という。)が二百分の一(地震力による構造耐力上主要な部分の変形によって建築物の部分に著しい損傷が生ずるおそれのない場合にあつては、百二十分の一)以内であることを確かめなければならない。
鉄骨造(S造)の高層ビルや、あえて建物を「しならせる」ことで地震のエネルギーを吸収・分散させる構造(柔軟な構造)の場合、設計上どうしても1/200をクリアすることが難しいケースがあります。
その際、「たとえ1/120まで傾いたとしても、外壁材(帳壁・カーテンウォール)や窓ガラス、設備機器がその変形にしなやかに追従し、脱落や著しい破損を起こさないこと」が客観的に確認できれば、1/120までの変形が法的に認められます。
建物の構造種別によって、層間変形角に対する設計アプローチは異なります。
| 構造種別 | 剛性の特徴 | 層間変形角のしきい値 |
| 鉄筋コンクリート造(RC造) | 剛性が非常に高い(硬い) | 1/200 |
| 鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造) | 剛性が低く、柔軟(しなる) | 1/200 |
| 許容限界 | 軸組や耐力壁で抵抗 | 1/50 |
地震発生時、建物が実際にどれだけ変形したかを瞬時に把握することは、BCP(事業継続計画)における初動対応の成否を分けます。IMVでは、各階に設置したセンサーデータから層間変形角を算出し、建物の被災度を瞬時に自動判定するシステムを提供しています。
通常、加速度センサーのデータから変位(ズレの距離)を算出する(2階積分する)際、一般的な地震計では低周波ノイズの影響でデータが発散・歪んでしまい、正確な変位を捉えることが困難でした。
しかし、当社の高精度MEMS地震計「SW-9033(S-QUBE)」は、0.02Hzという超長周期・低周波振動においても感度が減衰しない圧倒的な計測性能を備えているため、正確な変位変換(弾性変形に起因する変位)が可能です。
※なお、塑性(残留)変形を正確に求める場合は不動固定観測点からの直接計測が必要となりますが、本システムは弾性変位量をベースとした迅速なスクリーニングに極めて有効です。
さらに、これらのデータを集約する独自クラウド「GalnetCloud」と専用ゲートウェイを用いることで、以下の強みを発揮します。
・超高精度な時刻同期
階層ごとの相対的な時刻の「ズレ」をローカル補正するため、複数階の地震計データをミリ秒単位で完全に同期。
・最大層間変形角の自動演算・即時通知
地震発生直後、クラウド上で「どの階が・どれだけ傾いたか(最大層間変形角)」を自動で計算。
・遠隔地からの状況把握
本社や現場外のBCP担当者へリアルタイムに被災状況をアラート通知。目視確認が困難な高層ビルの健全性を即座に可視化します。

建築基準法の「1/120緩和」を適用する場合や、自社建材の安全性を確認・証明するためには、実際の地震動に耐えうるかという「客観的な評価」が必要です。
IMV株式会社では、振動試験技術を活かし、阪神・淡路大震災や東日本大震災などの過去の巨大地震波を正確に再現し、建築部品の変形追従性・信頼性評価を代行いたします。
【主な試験対象部材】
・アルミ・スチール製のカーテンウォール
・ALC(軽量気泡コンクリート)パネルやサイディング材
・外壁のタイル張り、石張り
・大型のサッシ・ガラス窓
・建物間を跨ぐエキスパンションジョイント(EXP.J)や配管
これらの部材の取り付け金物や目地(シーリング)が、設計上の最大変位に対して「破断しない」「脱落しない」「機能維持できる」という変形追従性を持っているかを評価いただけます。
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