Library コラム

国産産業用ドローン(IMU・バッテリー・電波法対策)の試験評価・検証について

2026.10.27 2026.10.27
ドローン 試験

この記事の要点

・産業用ドローンの課題
物流・インフラ点検等への活用が進む一方、開発現場では「過酷環境下の限界値把握」「原因不明の不具合解析」「型式認証に必要な証明データの取得」という3つの課題に直面しています。

・テーラリングとCAE解析の有効性
規格の単純適用による過剰設計や強度不足を防ぐため、実飛行データに基づく試験条件の最適化(テーラリング)とCAE解析の連携が極めて有効です。

・外部委託による解決
各種計測・試験の実施から認証向けレポート作成まで一気通貫で外部委託することにより、開発期間の短縮と確実な信頼性検証を実現できます。

発展する産業用ドローンの利用目的

空撮やレジャーを中心に普及したドローンは、物流・インフラ点検・災害対応をはじめ、大型貨物輸送などの産業用途へ急速に活用領域を広げています。

用途の高度化や製品環境の多様化に伴い、墜落や不具合を防止するための高い信頼性の確保が強く求められています。

しかし、開発や品質保証の現場では、「耐久性の検証」や「信頼性データの証明」において、様々な課題に直面しているのが実情です。 

発展する産業用ドローンの利用目的
図1:発展する産業用ドローンの利用目的

本記事では、ドローン開発・品質評価担当者が抱える課題と、その解決策となる環境試験の委託ソリューションについて解説します。 

開発・品質保証担当者が直面する「3つの壁」

機体の高性能化や型式認証(第一種・第二種機体認証)への対応が進む中、開発・品質保証の各フェーズで以下のような課題が生じやすくなります。 

「環境限界値がわからない」(試作フェーズ)

自社内に複合環境試験機や大型チャンバーがない場合、過酷な実環境における機体の耐久限界を正確に検証することが困難。

「原因不明の不具合が解決できない」(量産化フェーズ)

落下、熱暴走、通信途絶といった不具合が発生した際、再現実験や原因究明、再発防止策の検証を自社内だけで完結させるには限界がある。 

「確実な証明データ・レポートが足りない」(認証・実証フェーズ)

第一種認証の取得や大手顧客からの要求に対し、国際基準(ISO/IEC 17025等)に準拠したテストレポートの整備が追いつかない。

さらに、ドローン関連の評価には ISO 5309(振動)、ISO 5109(共振)、MIL-STD-810H、DO-160(航空機装備品)、EMC規格(Wi-Fi等と同周波数帯の相互干渉評価)など、多岐にわたる規格が存在します。これら全ての規格や試験項目に自社の設備と知見のみで対応することは難しく、開発遅延の一因となります。 

規格の単純適用を超える「テーラリング」というアプローチ 

用途によってドローンに求められる信頼性の要件は異なります。

例えば、高速飛行を行う機体では衝撃耐性や外乱への強さが重視される一方、カーゴドローンでは長寿命を前提とした疲労耐久性が要求されます。そのため、既定の規格試験をそのまま適用するだけでは実運用と乖離が生じ、過剰設計や強度不足のリスクにつながります。

この課題を解決するのが、実測データに基づく「テーラリング」です。

さらにドローン評価においては、CAE解析との連携が効果的です。ドローンは比較的構造が単純なためCAE活用のハードルが低く、実測データと解析を組み合わせることで以下のような試験条件の定量的・理論的な根拠(エビデンス)を提示できます。

  1. 試験手法の選定根拠

    正弦波加振で足りるのか、あるいはSOR(Sine on Random)などの複合波形が必要かの判断
  2. 限界値・耐久性の予測

    実機試験前の強度把握および試験箇所の絞り込み

実測データ・CAE解析・テーラリング評価を組み合わせることで、過剰設計を防ぎつつ実運用に即した信頼性を効率的に担保できます。

表1:信頼性の定義比較(迎撃用ドローン・輸送用カーゴドローン)

項目迎撃用ドローン輸送用カーゴドローン
製品環境80-250km/h 
数百回以上の出撃
~60km/h
数千回以上の飛行
※長寿命が前提
振動・衝撃への耐性非常に重要
(高速飛行・緊急着陸)
非常に重要
(疲労耐久性・運搬時の衝撃)
EMC・他環境への耐性非常に重要
(ジャミング耐性・過酷天候)
重要
(物流環境・電波影響)

ドローンにおけるテーラリングの手順

ドローンにおけるテーラリングの手順
図2:ドローンにおけるテーラリングの手順

実測

GPS・加速度・歪みセンサーを用い、ホバリングや旋回など実際の飛行状態における振動・応力を測定・記録します。

    解析

    モード解析や伝達関数測定を行い、機体固有の共振点や構造上の弱点を特定・可視化します。

    再現

    大型加振機や複合環境チャンバーを活用し、取得したデータに基づいた精緻な振動・衝撃ストレスをラボで再現します。

    パーツ別、ドローンに求められる試験・評価

    パーツや用途に応じて適切な試験・評価を行う必要があります。必要に応じて外部委託などを活用することで、開発効率の向上や自社ノウハウの蓄積に貢献します。 

    ドローンのパーツごとに求められる試験
    図3:ドローンのパーツごとに求められる試験

      IMVの主なドローンの試験実績

      ・プロペラ台座のひずみ計測
      ・第一種型式認証向けアーム部評価
      ・実大構造静強度試験(Φ30/40mmアーム)
      ・ホバリング時の振動計測、風洞環境での歪み計測
      ・振り子衝撃試験による機体の衝突時シュミレーション
      ・制御基板、IMU(慣性計測ユニット)の振動試験、EMC試験

      ドローンの各種計測から試験実施、報告書作成まで一気通貫でお任せいただけます

      IMV株式会社 受託試験

      IMV株式会社は全国に7拠点を展開し、自動車・航空宇宙・防衛など最先端技術の信頼性評価を請け負っています。

      自社で膨大な試験設備を保持することなく、「実飛行データの取得」から「認証向けレポート作成」まで包括的にご依頼いただけます。また、一部分のみの請負も可能です。

      「試作機の限界値を見極めたい」「不具合の原因を特定したい」「型式認証に必要な証明データを取得したい」とお考えの際は、ぜひご検討ください。

      振動試験・衝撃試験以外にも、振り子試験・EMC試験なども一連で対応が可能です。

      よくある質問

      Q. 第一種・第二種機体認証の申請代行は可能ですか?

      対応しておりません。
      発行させていただく報告書をもとに、貴社にて申請となります。

      Q. ISO 5309やMIL-STD-810Hなどの規格で、どの試験項目を適用すべきか判断できないのですが相談できますか? 

      可能です。規格の適用範囲についても弊社エンジニアが要件に合わせて対応いたします。

      Q. 実飛行計測を行う際、自社で用意すべきデータや環境は何ですか?

      特別な前準備は不要です。あえて挙げるならば「機体の材料特性」ですが、こちらの取得・調整も弊社にて一括サポート可能です。 

      Q. 試作段階でまだ完成形ではない(パーツ単体や基板のみ)状態でも試験を依頼できますか? 

      可能です。振動試験だけでなく熱サイクル試験、マイグレーション試験、EMC試験などもお任せいただけます。

      Q. 過去の不具合(振動による通信途絶や熱暴走など)の原因究明や再現試験もお願いできますか? 

      可能です。現象の特定および再現には「CAE解析」が不可欠となるため、解析と試験を組み合わせた不具合解析ソリューションを提供します。 

      Q. 試験に立ち会うことは可能ですか?また全国どこからでも依頼できますか?  

      可能です。対面以外にもWEB接続の用意があります。
      また全国どこからでも依頼いただけます。
      拠点は大阪~東京の範囲に7拠点ございます。